日本語教師になるにはどうしたらいいんだろう?
必要な資格はあるのかな?
日本語を母語としない外国人に日本語を教える「日本語教師」の仕事。
日本で働く外国人の増加やアニメ・漫画など日本のポップカルチャー人気により、日本語を学ぶ人は年々増えています。
・日本や日本語に関心をもつ人の役に立てる
・海外の人と交流し、多様な文化や価値観に触れられる
・自宅から好きな時間にレッスンをして収入を得られるオンライン講師の道もある
このような理由で日本語教師をめざす人も多いのではないでしょうか?
この記事では、日本語教師になる方法や資格についてまとめました。
日本語教師に興味のある方はぜひ参考にしてください。
日本語教師になるには?資格は必要?
日本語教師になるために必須の資格はありません。教員免許も不要です。
ただし、法務省が告示する日本語学校などで教師として採用されるには、下記のいずれかの条件を満たす必要があります(日本語教育機関の告示基準第1条第1項第13号)。
- 大学または大学院の日本語教育専攻を修了した者
- 学士の学位をもち、420時間の日本語教師養成講座を修了した者
- 日本語教育能力検定試験に合格した者
それぞれのルートについては、後ほど詳しく解説します!
日本語教師は高卒でもなれる?
日本語教育能力検定に合格すれば、高卒であっても「日本語教師の有資格者」として認められます。
ただ、学士以上の学位を求める日本語学校もあるようなので、応募の際には募集要項を確認しましょう。
日本語教師に年齢制限はある?
日本語教師に年齢制限はありません。
文化庁の資料によれば60代が最も多く全体の22.7%を占めていますが、幅広い年代の日本語教師が活躍しています。
日本語教師になるルート、おすすめは?
上記のとおり、日本語教師の有資格者として認められるには3つのルートがあります。
どのルートをめざすのが良いのか?それぞれのメリットとデメリットをみてみましょう。
①大学または大学院の日本語教育専攻を修了する
1つめは大学または大学院で日本語教育に関する課程を履修して修了することです。
メリットは「就職先の選択肢が多いこと」。
大学の学部講師や公的機関による海外派遣プログラムへの参加には修士号以上が求められる場合が多いことに加え、大学・大学院の日本語教育専攻を応募条件とする日本語学校もあります。
大学院で修士号以上を取得することが、日本語教師をめざすうえでは「最強スペック」といえそうです。給与面でも有利でしょう。
デメリットは「費用が高いこと」。
大学や大学院で学ぶとなると相応の学費(200~300万円以上)がかかってきます。また、入学試験に合格すること自体もハードルとなりますね。
②学士の学位をもち、420時間の日本語教師養成講座を修了する
2つめは文科省による「日本語教員養成のための標準的な教育内容」に沿った420時間の日本語教師養成講座を修了することです(学士の学位が必要)。
メリットは「理論と実技をバランスよく学べること」。
養成講座では座学のみならず、模擬授業や教案づくり、教育実習といった実践的なカリキュラムが組まれています。未経験で日本語教師になる場合、こうした実技を学べる機会はとくに貴重ですよね。
また、養成講座を実施しているスクールに併設の日本語学校がある場合は修了生を優先的に採用することも多く、就職のチャンスも増えるでしょう。
デメリットは「費用が高いこと」。
420時間の日本語教師養成講座の費用は「50~60万円」ほどです。
内容が充実しているとはいえ、この金額は決して安くはないですよね…。
また、働きながら日本語教師を目指す場合は通学の負担もネックになりそうです。
③日本語教育能力検定試験に合格する
3つめは公益財団法人日本国際教育支援協会が実施している「日本語教育能力検定試験」に合格することです。
メリットは「費用が安いこと」。
独学の場合はもちろん、対策講座も数万円から受講できるので、他の2つと比べてコストが低いです。
通学が不要なので忙しい社会人でも挑戦しやすいルートといえるでしょう。
試験に合格することで日本語教育の専門知識の証明にもなります。
デメリットは「実践練習の機会がないこと」。
日本語教育能力検定試験はペーパーテストなので、日本語を実際に教えるスキルは測れません。
試験対策とは別に、実践的な日本語教育スキルを磨く必要があります。
また、合格率が25%~30%程度と難易度が高めなこともデメリットといえるでしょう。
社会人が日本語教師をめざすなら「日本語教育能力検定の合格」が最も近道だと思います。
日本語教師の求人はどこで見つけられる?
日本語教師にはたくさんの活躍の場があります。なかには脱サラして海外で働く人も。
- 国内の日本語学校
- 外国人を雇用している企業
- 大学などの教育機関
- オンライン日本語スクール(italkiなど)
- 海外の日本語教育機関
- 日本語学校の海外提携校
- 国際交流基金などの公的機関の日本語講師、日本語指導助手 など
日本語教師に特化した求人サイトとして「日本語オンライン」、「NIHON MURA」、「日本語教師の集い」などがあります。
ほぼ全ての求人で420時間の養成講座か日本語教育能力検定合格が必須とされています。
日本語教師の国家資格が創設されるって本当?
国は日本語教師の国家資格を創設する議論を進めていますが、具体的な制度や時期は決定されていません。
今後なにか動きがあれば、このブログでも情報を更新していきます。
日本語を学ぶ外国人はどんな人?
日本語を学ぶ目的は人それぞれですが、主に以下のような方が日本語学校に在籍しています。
- 日本の大学や大学院、専門学校への進学を希望する留学生
- 日本企業や母国の日系企業に就職したい外国人
- 日本で働く外国人やその家族
- 日本文化(アニメや漫画など)に興味がある人
国籍は中国が最も多く(約3割)、ベトナム、ネパールが続きます。韓国や台湾、フィリピンの生徒も多いです(文化庁「平成 29 年度日本語教育実態調査の結果について」)。
日本語教師に英語力は必要?
日本国内では日本語で日本語を教える「直接法」が主流のため、英語力をはじめとする外国語力は基本的に不要です。日本語学校に通う生徒の国籍はさまざまなので、日本語を共通言語にせざるを得ないという事情もあります。
ただし、学習者の母語が話せることで学習者の心理的ハードルが下がることもあります。例えばわたしたちがアメリカ人講師から英語を習うとして、その講師が日本語を話せたら心強いですよね。
また、外国語を学んだ経験があれば学習者の気持ちをより理解しやすいでしょう。
「日本語教師になるにあたって英語力は必須ではないが、英語が話せることが有利になる可能性はある」といえそうです。
まとめ
この記事では日本語教師になる3つのルートを解説しました。
- 大学または大学院の日本語教育専攻を修了する
- 学士の学位をもち、420時間の日本語教師養成講座を修了する
- 日本語教育能力検定試験に合格する
現時点では日本語教師の国家資格はありませんが、日本語学校などに採用されるには上記のうちいずれか1つを満たす必要があります。
社会人がめざすには「日本語教育能力検定試験の合格」が取り組みやすそうですね。
今後の国家資格創設の動きも注視していきましょう。
ここまでお読みくださりありがとうございました。